
この記事は、北陸税理士会の研修「中小企業経営承継円滑化法を理解する」のメモ:その5(最終)です。
(このメモは私の備忘メモであり内容を保証するものではありません、お約束ではありますが、念のため。)
中小企業経営承継円滑化法は、同法の目的をその第一条で、遺留分に関し民法の特例を定める・・・と謳っています。
今回は、この遺留分に関連して『遺言執行・遺留分』についての備忘メモです。
写真は本文に関係のない、長男の力作(^^ゞ
写真を撮れとうるさくて。父のすることを良く見ています。
税理士法人川中経営
税理士・ITC 川中重司
(遺言執行者の指定):第1006条
遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
(相続財産の目録の作成):第1011条
遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
→
しない場合には、問題になる場合がある。
(遺留分の算定)
:第1029条
遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
:第1030条
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り(注)、前条の規定によってその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。
(注)他人は1年でも、相続人には全て。
【先例】最判平10・3・24民集52巻2号433頁
民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、(中略)減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情がない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺請求の対象となるものと解するのが相当である。(後略)
(遺留分権利者に対する価額による弁償):第1041条
受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。
→
遺留分の減殺請求はあくまでも価額面であって、贈与や遺贈の行為の取り消しを求めるものではない。
受贈者や受遺者は、金銭でもってその価額を弁償すればよい。
(遺留分の放棄):第1043
① 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
② 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
①→
事前の相続の放棄は出来ないが、遺留分の放棄は出来る。
②→
遺留分の放棄の手続は、各相続人が、各々行うもの。
が、遺留分は相続人最後の砦なので、遺留分の放棄の手続は慎重に行われ、その可否は担当裁判官の判断に委ねられる。
→
関連した事案の遺留分放棄申請でも、一方は放棄が認められたが他方は認められなかった、という場合も生じ得る。
東京高決平15・7・2家月56巻2号136頁。
これでは、事業承継の際に問題がないようにと事前に遺留分の放棄の手続をとろうと思っても、出来ない。
→
このため、中小企業経営承継円滑化法で、遺留分に関し民法の特例を定める事としたのではないでしょうか。
その5:遺言執行・遺留分について(中小企業経営承継円滑化法のメモ)