
著 者:城山三郎
出版社:文藝春秋 (1992/06)
価格:470円
城山三郎は結構好きで、何冊か持っているが、その中でこの本はタイトルに惹かれて購入した。
描かれている石田禮助(1886~1978)は、三井物産に35年在職して代表取締役を務めた後、
78歳で財界人から初めて国鉄総裁(第5代。昭和38年~44年)に起用された。
最初に国会に呼ばれた時の自己紹介が「粗にして野だが卑ではないつもり」。
自分は粗暴で野蛮かもしれないが、卑しくはない。
自分を「マンキー」(山猿)と呼び、明治人の一徹さを持つ。物産では華々しい業績を挙げた(儲けた)が、
晩年は「パブリックサービス」に徹した。就任後まもなく起こった「鶴見事故」に衝撃を受けるが、
以後は事故防止に情熱を燃やし、予算を巡って政府や国会とやり合った。
給与もわずかしか受け取らなかったし、勲章も断った。
思ったことをそのまま言うため、国会でも労使間でもさまざまな問題を起こすが、やがて理解者は増えていった。
「野心も私心もない。あるのは素心だけ」と評された。
背筋を伸ばした会心のライフスタイル、”本物”の人生を描いた一冊である。
卑ではない、筋の通った人生。こんな言葉が似合う人生にしたいと思う。
(小澤孝之)



